CROSS TALK 座談会 研究職:探索合成
- 上司
- 若手社員
低分子+新規モダリティで、
アンメットメディカルニーズに応える創薬を
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上司 入社17年目
リサーチディビジョン
化学研究ユニット 第2グループグループマネージャー N.T
工学部 工学研究科 修了
2003年入社 -
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若手社員 入社8年目
リサーチディビジョン
化学研究ユニット 第2グループ研究員 兼務
基盤技術研究ユニット4G S.M工学研究科 修了
2011年入社 -
若手社員 入社16年目
リサーチディビジョン
化学研究ユニット 第2グループプロジェクトリーダー S.T
薬学部 製薬化学科卒
2004年入社
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化学研究ユニットは、革新的な新規化合物を見つけ出し、新薬を創出するための「種」を生み出すセクション。
これまで蓄積してきた創薬ナレッジと最先端の評価技術を活用しながら、医薬品候補化合物をデザインし合成する。
その最前線で創薬に取り組む化学研究ユニット 第2グループの3名に、
仕事の魅力や研究者としての働き方について語ってもらった。
※記載内容は取材当時
化学研究ユニット2グループのミッションは、アンメットメディカルニーズの高い精神神経疾患を対象に、ヒトでの有効性と、優れた安全性・薬物動態プロファイルを兼ね備えた化合物を継続的に創出すること。
その中で私はグループマネージャーとして、成果をあげるための体制づくりを担当しています。プロジェクトや新規テーマを推進するために、各メンバーの強みを活かした最適な人員配置を行ったり、必要に応じて外部技術を活用しながら化学基盤の拡充を図ったりしています。
N.T
私はグループマネージャーN.Tさんのもとで、主に創薬研究のプロジェクトリーダーとして、中枢神経疾患に対する低分子治療薬の研究や低分子以外の新たなモダリティとしてタンパク質製剤の合成基盤構築プロジェクトなどを推進しています。
S.T
お二人と同じグループの研究員として化学合成をやりつつ、兼務で基盤技術研究ユニットにも所属しています。
そちらでは、インシリコ創薬をやっていて、社内のインシリコ技術(ケムインフォマティクス)を活用し、化学研究ユニット全体に展開できるよう模索しています。
S.M
S.Tさんには、強力に創薬プロジェクトを推進してもらい、S.Mさんは、特定のテーマは持たずに、今後、インシリコの技術を化学ユニットの強みにできるよう、技術の橋渡し役をお願いしています。
N.T
ずっと化学合成をやってきたので、インシリコは新しいチャレンジです!
S.M
今やっているテーマは、世の中にまだ治療薬のないアルツハイマー病や重篤なてんかんなどをターゲットとした低分子の創薬研究です。もうすでに治療薬があって、もっとよいものをというのではなく、全然ないところをやっているので、やりがいがあります!
S.T
低分子を軸にしているのは、住友ファーマの特徴です。
低分子は、医療経済性に優れているというメリットもあります。昔ながらのターゲット群だけではなく、新たに見つかってきたものにも取り組んでいます。
N.T
入社するとき、当社は有機合成をとても大切にしていると聞いて、決めました!
当時、抗体医薬の研究が盛り上がっていましたが、自分は合成をやりたかったので・・・。
S.T
僕も、合成研究がしっかりでき、若い人が活躍しているというのを先輩から聞いて、住友ファーマに魅力を感じました。
S.M
そうですね。しっかり合成研究できます(笑)。
もちろん、今、S.Tさんに取り組んでもらっているように、低分子で狙いにくかった有望な創薬標的に対してのアプローチは、ペプチドなど新規モダリティも取り入れています。
N.T
我々のゴールは、患者さんに薬を届けること。低分子はその手段のひとつ。
今取り組んでいるタンパク質製剤の合成基盤構築プロジェクトは、大学と組み、産官学連携で行っています。
また、製薬会社同士の産産連携プロジェクトにも参加しています。創薬が高次化するなかで、協業できる部分は一緒にやっていこうという取り組みです。
いろいろな切り口でテーマを進めているので面白いですよ!
S.T
グループのビジョンとして「成果を創出することによる組織貢献と自己実現の両立を」というのを掲げています。プロジェクトは全体をいくつかの工程にわけて進捗管理していきますが、短期的に成果をあげることに注力しすぎると、継続的な成果を出しにくくなってしまいます。
短期的成果を上げながら中長期の目標を達成できるよう、業務と個々がやりたい研究をマージさせるように調整しています。
N.T
住友ファーマは研究の自由度が高く、年齢・経験に関係なくアイデアを発案でき、醸成される風土があります。メインのプロジェクト以外で、やりたいことがあれば、グループマネージャーや所長に相談。すると「いいよ」と人や時間を調整してくれます。そこが大きいんですよね。
「やりたいなら、お一人でやれ」ではなくて波及効果も認めてもらえる。
S.T
これからの創薬に活用していける取り組み、技術であれば、ぜひやってほしいとOKします。S.Tさんは、複数の基盤系を推進し、ユニットとして強化したいところを、まわりを上手く巻き込みながら進めてくれています。これは大事なこと!
中長期の技術は、その魅力を伝え、薬理や他の部署を巻き込んでいく必要がありますから、とても助かっています。
若手には、積極的に新しい分野にチャレンジしてもらっています。S.Mさんには、インシリコ創薬に取り組んでもらっています。
N.T
もともと数学が好きだったのでインシリコをやる素質はあったのかもしれません。
自身の素質を見てもらって巡ってきたのだと思います。
実際、S.Tさんから「こんなことできないかな?」と聞かれたとき、「こういうかたちだったら解決できるかも!」とインシリコ技術を提案しました。
S.M
化合物の構造式が数千のパターンがある中で、似ている、似ていないというのは、人がやると何日もかかる。でも、インシリコなら、あっという間に数値やビジュアルで可視化できます。そこはS.Mさんにお世話になっています!
S.T
インシリコのいいところは、計算でできるところ。入力すれば一気にやってくれるので手間も省けます。人がやるとどうしても私見が入ってしまうけれど、客観的なデータを自動でやってくれる。
そうした新しい技術をチームの中に還元したり、新しい方法を検討したりしています。
S.M
2人とも前向きにどんどん進めてくれます!
ぐいぐい推進できる人には、権限を与え、任せています。
N.T
グループの方針と自己実現。
N.Tさんは、自己実現というのを意識してマネジメントしてくれると感じています。
新しいモダリティをやるときに、やる気のある若手にリーダーを任せる。
モチベーションが上がりますよね? それも自己実現のひとつだと思います。
S.T
「手あげ制」というのがあって、グループ内に興味のある人を募ってくれます。
やりたいという人がそれをやらせてもらえるのがいいな、と思います。
S.M
そのほか、毎年海外の学会にも行かせてくれるのもありがたいです!
S.T
学会は、希望を自ら提案してもらって参加してもらっています。
N.T
創薬の学会は楽しかったですね!
各製薬会社やベンチャー、アカデミアも含まれているネットワーキングを主体としている学会があって、そこではただ発表を聞くだけでなく、テーブルディスカッションで直接質問できます。
S.T
ディスカッションは、講演より、絶対いろいろ聞けますよね。
S.M
やっぱり知財権、特許がとても大事なので、かつては、発表しても差し障りないテーマがほとんどだったのですが、今は、論文を出していないような未公開データも。そこで情報を出すことで、会社をアピールし牽制している感じです。
戦いですよね、創薬の。
S.T
僕もアメリカに、インシリコの情報収集のためのセッションを聞きに来ました。
想像よりアクティビティが高かった!
自分が考えていたことと同じようなことを考えている人がいるのがわかり、自信をもって進められます。知見や視点を広げるいい機会だと思います。
S.M
参加した学会の情報は、化学の中だけでなくリサーチディビジョン全体で報告書を共有しています。
N.T
聞いてきたことを、伝えたいという思いもあり、情報共有しています。
S.M
学会だけでなく、入社約10年目には、スイス連邦工科大学(ETH)に2年間海外留学する機会をいただきました。最先端の化学技術や知識を得られただけでなく、予想以上の人脈が構築でき、海外の効率的な業務への取り組み方なども学べてよかったです。
S.T
私も国立研究開発法人科学技術振興機構のプロジェクトが採択された研究室に2年間国内留学にいかせてもらいました。それによって博士号の取得につながりました。
アカデミアの研究を肌で感じるよい機会となりました。
N.T
やりがいを感じるのは、自分たちが合成した化合物が細胞や動物で期待した活性、薬効を示したとき。それは、入社したときからずっと変わらない。データが手元に出てくる瞬間は、本当にワクワクします! 薬に一歩近づいたな、と。
S.T
本当にそう。今は、マネジメントの立場で、活性があった、なかったで一喜一憂するのは変わらずですが、研究者として自分で合成した化合物を世に送り出したいとずっと思っています。
N.T
合成をずっとやってきたので、化合物をつくりたいというのはあります。
でも、今はインシリコの技術を普及させるのがミッション。
住友ファーマは、インシリコ技術は強い領域ですが、それを探索合成に直接的に生かすことはまだこれからだった。期待されているので、自分がやらなければならないという使命感をもってやっています。
S.M
インシリコの使い方もいろいろあって、計算化学のスペシャリストにとってのインシリコの活用と、メディシナルケミストの活用というのは、必ずしも一致している分けではない。
N.T
その橋渡しのような役割で、双方を理解した上でこの技術なら使えそう、というのを判断していいます。
住友ファーマの強みは、低分子に強いだけでなく、iPS細胞を使った薬理評価系や霊長類の動物モデル、インシリコ技術を活用した化合物デザイン手法など独自の技術が確立していること。その一翼を担い、技術を駆使しながら創薬研究ができることに魅力ややりがいを感じます!
S.M
ありがとう! がんばってほしいと思います。
化合物をつくって薬にできるのは化学にしかできないこと。
特許を出して医薬品としてのステージをあげていくのが合成化学の一番の魅力。そこに自分たちの強みを生かしながらプロジェクトを全体として継続的に出していきたいですね。
N.T
ずっとバスケットボールをやっていたのですが、最近はちょっと参加できていないかな・・・。同業他社のバスケチームとの交流もあり、面白いですよ!
S.T
確かに、サークル活動は、部署や社内外を超えた交流があっていいですね。テニスやバンドやら、いろいろありますね。
N.T
同期と仲がいいので、よく飲みに行きます!
同じ基盤研究や前臨床をやっている仲間、東京の臨床開発の同期が来ると集まりますね。
S.T
僕は、同じ研究室の仲間と交流しています。お互い、話せる範囲で話をします。
S.M
最近、家族ではまっているのがキャンプです。
N.T
ぜんぶ道具をそろえたんですか!?
S.M
徐々にそろえているところですね。うちは初心者なので、家族ではグランピング。
N.T
子どもがまだ小さいので、公園につれていって、遊ばせています。
S.M
うちも子どもが小さいので同じですね。運動不足解消のため、週一回は、近くの公園をジョギングしています。リフレッシュになりますよ!
S.T
産官学連携をもっと進めたいと思います。
S.T
化合物のデザインは試行錯誤を伴いますが、インシリコ技術によって独自の方法論が確立できれば、効果的(戦略・アプローチ)かつ効率的(実際の合成)に研究が進められるようになること思います。
S.M
マネジメント以外にも、自分がやりたい創薬というのがあります。
N.T
他にも、産産連携などで人脈も広がったので、機密事項は守りながらコミュニケーションしています。マネジメントとか、人をどう動かしているかとか。研究に没頭すると自分の状況がわからなくなるので、外部の人と会うのも大切かな、と。
お二人は休日は、どうされていますか?
ママ友の企画で8家族が集まってキャンプに行ったことをきっかけに、子どもがアウトドアに興味をもつように。今は、キャンプグッズを買って、家族で楽しんでいます。
道具は、持っている人に貸してもらっています。S.Mさんのところはどうですか?
最近、電車に興味をもったようで、勝手に駅の方に連れて行かれます(笑)。
今はオープンイノベーション。外との関わりが大切です。
将来的には今よりもさらにヒトや技術や情報が社内外を行き交う環境になり、より活性化された組織になればと考えています。
もっと有用なものを見いだせるよう、技術と技術の橋渡しができればと思います。
ちゃんとした成果をだせるようにできたらと思います。
それは、特定の標的群に対するプラットフォームを拡充すること。
日本でというのではなく、あの疾患、ターゲット群は、住友ファーマは強いよね、と認知されるようなプラットフォームにしたいと思っています。
开発後期になると化学系は構造情報を発表できるようになるので、もっと外部に発表して、グローバルに認知され、大型の共同研究ができるとうれしいですね。
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