CROSS TALK 対 談 開発職
- CRA
- データ
サイエンス
研究から受け継いだ
未来の薬の種を育て、
開花させる仕事
-
CRA 入社7年目
臨床推進部
A
薬学研究科 修了
2013年入社 -
データサイエンス 入社14年目
データサイエンス部
生物統計グループW
工学研究科 修了
2006年入社
開発部門は、薬の候補品の臨床試験を行い、有効性と安全性を確認し、国の承認を得て世の中に送り出す役割を担う部署。
住友ファーマの開発部門には、臨床試験を担当するCRA(Clinical Research Associate)をはじめ、臨床企画や統計解析、データマネジメント、開発薬事など様々な仕事がある。
ここではCRAと統計解析という開発部門の中でも異なる職務を担っている二人に、それぞれどんな仕事に携わっているのか、何に挑戦しているのか、それぞれの職種の働き方やこれからについて語ってもらった。
※記載内容は取材当時
私は現在、CRAとして精神神経(CNS)疾患対象の試験と肝疾患対象の試験を兼務しています。
CRAとして担当の治験実施医療機関からデータを集めるだけでなく、治験依頼者として、CRO(Clinical Research Organization:開発業務受託機関)とやりとりし、試験進捗などの管理業務の一部も行っています。
Y
今はどういった薬の開発に携わっているの?
W
肝疾患では、有効な治療薬のない「NASH(ナッシュ:非アルコール性脂肪肝炎)」を治療対象とした新薬「DSP-1747」、CNS疾患ではパーキンソン病治療薬「トレリーフ(ゾニサミド)」の適応疾患拡大に向けた臨床開発です。
Y
「DSP-1747」と「トレリーフ」、2剤を担当するとなると大変じゃない?
W
実は、自ら「トレリーフの開発もやりたいです!」とアピールしたんです。
入社して最初に担当した製品は「DSP-1747」だったんですが、ちょうど開発の途中段階。
臨床試験の立ち上げを早く経験したいと思い、アピールし続けたところ「トレリーフ」の立ち上げに参加させてもらえることになりました。
Y
すごい!熱意をもって、積極的に行動しているね!
当社の開発部門の若手は一見クールに見えて、実は熱い人が多いかも。
みんな優秀で、話をしていても“よく考えているな”と思うことが多いなあ。
W
そういわれると恥ずかしいですが…確かに、周りのみんなも熱い人が多いですね。
Wさんはどういった業務を担当されているんですか?
Y
私はデータサイエンス部の生物統計グループで生物統計学(biostatistics)を専門に業務を行っているよ。臨床試験の立案からデータ解析、結果の解釈まで、生物統計の観点から臨床試験全体に関わるのだけど、一番責任を感じるのが、最後の結果を出すところ。臨床試験の結果にとことんこだわり「ゆるぎない結論」にたどり着けるよう心がけているんだ。
W
Wさんが今、担当している製品は何ですか?
Y
私が担当しているのは、グローバルで開発している非定型抗精神病薬「ラツーダ(ルラシドン)」。今はCRAが頑張って試験データを収集している時期で、そのデータを解析するための準備を進めているよ。
生物統計グループは、生物統計学の専門家やデータ解析プログラマーからなる組織。米国やアジアなど、様々な場所にいる担当者が連携しながら業務を行っているよ。
W
すごい!
データを解析するチームもグローバルなんですね。
Y
それぞれの専門性を研ぎ澄ましながら、開発に取り組んでいるよ。
W
私は学部のときからずっと生物統計学を専攻していて、研究室の先生もこの分野の専門家。
まわりはほぼ、製薬メーカーに就職していたよ。
W
なぜ、生物統計学に興味をもたれたんですか?
Y
進学した工学部で、たまたま生物統計学に出合ったんだよね。
医者になりたいと思っていた時期もあったんだけど、自分の得意とする工学分野から医療に関われるのは面白そうだと思ったのが選んだ理由かな。
指導してくれた教授も、製薬メーカー出身者。アカデミックな領域だけでなく、企業でそのまま使える理論や知識を教えてくれたので、入社後スムーズに業務に適応することができたよ。
W
研究室で学んだことがそのまま活かせるなんて、いいですね!
Y
そうだね、職種柄…という部分が大きいけどね。
私が当社を選んだのは、実績とリーダーシップを兼ね備えた生物統計の社員や誠実な人柄の先輩社員の方々に会い、とても魅力を感じたから。この人たちと一緒に働きたいと思い、入社を決意したんだ。
A君はどうだったの?
W
僕は薬学部出身ですが、専門が薬用植物だったので、Wさんのように研究室で学んだことを直接活かせる機会はなかったですね。
大学の先輩は、製薬メーカーのCRAと研究職に就く方が半々ぐらいで、その先輩たちが大学に来て話をしてくれたときに、初めてCRAの仕事を知りました。
当時から、患者さんに近いところで仕事をしたいと思っていたので、CRAという仕事に興味が沸きました。
Y
それで当社に応募したんだね。
W
最初はCRAとしてモニターの仕事ができればどこでもいいと思い、製薬メーカーだけでなくCROも受けていました。
でも、いくつか応募する中で、だんだん各社の特徴や雰囲気の違いが見えるようになりました。当社は、新しい分野に挑戦していて、若手のうちから仕事を任せてもらえる社風だと感じましたね。
また、人事の方の対応が無機質でなく、とても丁寧だったのも魅力的でした。
Y
確かに、やる気のある若手にはどんどん任せる社風があるよね。
W
本当にそう思います。希望通り、複数の臨床試験を担当させてもらっていますから!
Y
Wさんが米国に行かれていたときの話、詳しく聞きたいです。
Y
3年間、米国子会社に赴任して、2015年の春、日本に帰ってきたんだけど、そもそも行くきっかけになったのは、部長や上司が「グローバルレベルで活躍できる生物統計家を育てよう」という方針を立て、その道を開いてくれたから。
上司と面談をした際、「米国に行きたいか?」と聞かれたので、「チャンスがあれば、ぜひ!」と意思を示した数年後、その機会がやってきたよ。
W
やっぱり、意思を示したからなんですね。
向こうでの業務はどうでしたか?
Y
業務内容は日本と基本的に同じ。生物統計の分野は考え方や業務の内容に国境がなく、世界中どこにいても同じ仕事をすることが理想だからね。
「日米EU医薬品規制調和国際会議のガイドライン」の発出によって、ワールドスタンダードが確立されているので、地域性などに左右されることなく業務を進めていたよ。
W
海外の開発者と一緒に働いてみて、どうでしたか?
Y
ひとことで言うなら「ダイバーシフィケーションを経験できた」かな?
1つのオフィスに様々な人種、バックボーンをもった人たちがいて、それぞれのものごとの捉え方、考え方の違いを間近で感じることができたね。
当社の日本のオフィスも近い将来、こうなっていくんじゃないかな。
W
なるほど。
海外ではどのような試験を担当されたんですか?
Y
「ラツーダ(ルラシドン)」の統合失調症を適応とする試験を担当したよ。企画立案から解析結果を出すところまで携わったのだけど、グループ内やCROとのコミュニケーションが本当に大変で。でも、結果がとてもよくて、苦労が報われたんだ。
統計担当者は、誰よりも先に臨床試験の結果を知ることができる立場にあるのが特徴だね。本当に緊張する瞬間なんだけど、担当していた試験の結果を見たときは、本当にビックリしたよ。こんなに理想的な結果が出るんだ!と。
会社として力を入れている製品の開発に携われて、すごくいい経験ができたと思っているよ。米国でのラツーダの販売実績もとてもいいよね。
W
開発部門はどんどんグローバル化していますよね。
Y
本当に。今後も後輩が海外赴任することになると思うけど、もし、A君もグローバルな開発がやりたかったらアピールしないと!
挑戦する意欲を示した人に、チャンスを与えてくれる会社だからね。
W
CRAは、患者さんの安全性と倫理面が守られているかという点や正しくデータが収集されているかどうかということを治験実施医療機関で確認するモニタリングがメインですが、それ以外にも施設との契約などの手続きも行います。
Y
私は基本的に内勤だけど、CRAは外勤も多いよね。
W
今は2試験を担当していますし、CROとの打ち合わせや学会参加もあるので外勤は多いですね。一週間のうち、2/3くらい外勤のこともあります。ただ、会社から貸与されているPCとスマートフォンを使い、外出先でも仕事はできます。
Y
会議とか、他部署とのディスカッションとか?
W
そうですね。CRAは医療機関との窓口として、臨床試験に関する様々な質問を受けます。
Y
一方で、臨床現場を一番よく知っているのはCRA。お互い得意な領域が異なるから、協力しあって進めているよね。みんなコミュニケーションは上手く取っていると思うなあ。
W
「DSP-1747」の試験は、大学病院で実施しているので、その施設を担当している当社のMRとコンタクトをとることも多いです。臨床現場と密に情報共有をしないと進められないですからね。
Y
MRの人は、コミュニケーション能力も高いし、説明が上手いよね。
W
すごいですよね!僕も見習います(笑)。
Y
十分でしょ(笑)。
W
休日は、ゴルフと料理ですね。母親の影響で、子どもの頃からゴルフをやっていたこともあり、今もゴルフの練習に行っています。
Y
私は友達と遊びに行ったり、旅行に行ったりしているよ。つい最近、会社のリフレッシュ休暇を利用して海外旅行に行ってきたところ。
W
休日もグローバルですね!
Y
休暇もちゃんと取得できるから、プライベートでの自分のやりたいこともできるよね。
W
入社3年目って、いろいろなことができて楽しい時期じゃない?
W
2試験の兼務をはじめ、やりたいことをさせてもらっています。大変ですが、その分、責任もやりがいもあります。与えられた仕事をやるより、自分で望んだ仕事の方が断然モチベーションも上がります。
Y
最初の頃は、何でも吸収することが基本。そういうときに、いいたいことがいえる環境があるのはすごくいいことじゃない?会社にも上司にも恵まれて本当に幸運だと思うよ。
W
開発中の「DSP-1747」に思い入れがあるので、承認を達成するために少しでも力になれるよう、果たすべき役割を担いたいと思います。
Y
熱意ある若手全体で、会社を引っ張っていく気持ちで頑張ってほしい!
W
試験の立ち上げ時期と終了の時期はモニタリング、手続き共に対応することが増えますが、予め忙しい時期は予測できますので、計画的に仕事をすればプライベートの時間もしっかりとれます。
その分、社内にいるときはそのときしかできない業務に集中していますね。
内容によっては他部署の方が詳しいことも多く、内容に応じて、データ収集や解析を専門とするデータサイエンス部や臨床試験の計画立案を担当する臨床企画部などに直接相談に行きます。知りたいことや困ったことを相談に行くと、みなさん快く教えてくれますし、「なぜそれが必要なのか?」ということも理解できるのでとても助かっています。
そのおかげで、MRと交流する回数も増えました。
ところで、A君はいつもどんな風に休日を過ごしているの?
料理については、妻と一緒に食べたいものを探して自分たちでつくったりしますね。土日は、間違いなく学生時代より充実しています!
Wさんは?
ヨーロッパではフランクフルトからロマンティック街道を通ってお城を見て。その後ニューヨークへ飛び、駐在中の知り合いの住まいを訪ねて、ぐるっと世界一周して帰ってきたよ。
育児短時間勤務中の方もたくさんいるけど、とても効率的に仕事をされている印象だよね。仕事に没頭するもよし、自分のために使うもよし。その辺も自分次第かな。
チームによって進め方や方針が違うので、私の場合はふたりのリーダーのやり方を同時に学べる点もよかったと思います。
私が入社した年は、当社が合併によって誕生した年。まさか数年後に、海外赴任してグローバル戦略品の開発に携われるなんてイメージしていなかったから、これから当社がどうなっていくかもすごく楽しみ!
A君は、これからどんなことに挑戦したい?
チャンスがあれば、臨床試験のリーダーにもなりたいです。せっかちなので、それもなるべく早く(笑)。
今はリーダーに求められる力を身に着けるために、CROとの協働も含め、知識やノウハウを学んでいきたいですね。
私はというと、10年経って改めて初心に戻っていて、今は本当にいい薬をつくりたいと素直に思っているんだ。そのためにできることは何でもしたい。まわりを巻き込みながら、グローバルな臨床開発を推し進めたいと思ってるよ。
当社には「未来の薬の種を育て、花を咲かせられる環境がある」と思っているから、海外赴任というアドバンテージを活かして、私もその花を日本で咲かせられるよう、日々努力していきたいな。
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